東京に住むなら考えたい治安と防犯
「東京での一人暮らしは危険?」「東京で犯罪に巻き込まれないようにするには?」と気になるところです。実際、東京で暮らすうえで気をつけたいリスクが3つあります。
事件に巻き込まれるリスク
東京は人口が1398万8129人と日本で一番人口の多い都市です。人が多いということはトラブルが起こりやすく、犯罪が起こりやすい傾向にあります。
2021年度の犯罪統計で見ると、東京の犯罪認知件数は75288件と全国ワースト1位です。2位の大阪が62690件、3位の愛知が37832件となっています。
東京23区内でみると犯罪件数が一番少ないのは文京区、一番多いのは新宿区です。しかし、犯罪件数だけで治安の良し悪しを比べてはいけません。区によって面積が異なるためです。
犯罪の多さは、その地域の面積と大きくかかわります。面積が広いと犯罪件数が多くなる傾向にあり、面積が広い分、人口が多くなり、犯罪も起きやすいという関係があるためです。
ちなみに面積は広くないにも関わらず犯罪件数が多いのは新宿駅のある新宿区、渋谷駅のある渋谷区、池袋駅のある豊島区です。治安の良し悪しを考える場合、面積比でどのくらい犯罪が発生しているのかで比べる必要があります。
警察庁の提供する犯罪情報マップを見ると犯罪の起こりやすいエリアと、起こっていないエリアがハッキリわかれていますので、自分の住む場所はどうなのか確認することが可能です。
治安の良し悪しは事件の数だけでは判断できません。行動範囲の中でどれくらいの頻度で事件が起きているのか知っておくことが重要です。事実を知ることで事件に巻き込まれる可能性を低くすることができます。
交通事故に巻き込まれるリスク
東京都内は交通事故の発生率も高めです。警察庁が提供する交通事故発生マップで新宿・渋谷近辺の交通事故情報を見てみると、大通り沿いで事故が起こってない場所を探すのが難しいほどです。都内は人口と交通量に対して道幅が狭いため、接触事故が起こりやすい環境といえるでしょう。
また、自動車だけではなく自転車による事故も増えています。さらにここ数年、電動キックボードによる事故や危険運転も目立ってきました。電動キックボードは2024年4月に一定の条件を満たせば免許がなくても、電動キックボードに乗れると予想されています。本来、電動キックボードは原付バイクと同じ扱いになっているため、車道のみでしたが、法改正によって自転車レーンや路側帯も走れるようになりました。時速20kmという制限があり、歩道を走る場合は時速6kmと決まっていますが、実際に電動キックボードに乗る人全員が守ってくれるのかといわれると大変不安です。
災害時のリスク
東京は高層ビルや住宅が多いため、災害が起こると危ない地域でもあります。2011年3月の東日本大震災で東京は震度5の揺れに見舞われました。高層ビルは長時間揺れ続け、エレベーターや鉄道は停止。帰宅困難者が路上にあふれ、道路は深夜まで大渋滞に。壊れた建物は一部にとどまりましたが、落下物によって命を落とされた方もいました。近年では東京に住む場合、不動産業者から入居者に向けて水害リスクや土砂災害リスクなどを”重要事項説明”として説明することが義務づけられています。
しかし、実際のところ、契約が進んだ段階で初めてリスクを知っても、考え直すことは難しいでしょう。部屋探しの段階で、ある程度自分で把握しておきたいところです。
東京23区のハザードマップから確認できます。まず地震による揺れやすさについてですが、東京都防災ホームページの表層地盤の揺れやすさを見ると、23区東部と北部で高い傾向にあります。特に揺れやすいのが江東区・墨田区・足立区・荒川区・江戸川区・葛飾区です。地震による建物倒壊や火災、避難困難度もハザードマップで確認できます。東京都市整備局の”地震に関する地域危険度測定調査”によると、千代田区・中央区・港区の順番に危険度が低くなっており、これは道路が広く、ビルやマンションが鉄筋コンクリート造の建物が多いためです。逆に荒川区・中野区・葛飾区は道路が狭く、木造住宅が多いため危険度が高くなっています。
東京の一人暮らしで危険な目にあわないための防犯対策
物件選び
警察庁の2019年のデータによると強制性交の犯罪は52%が住宅内で起こっています。すべてが被害者の自宅ではないでしょうが、セキュリティが整った物件を選びたいものです。
また、同じく警察庁のデータによるとひったくりは都内で約260件起こっています。帰宅途中、犯罪に巻き込まれる可能性があるため、物件のセキュリティだけではなく、最寄駅から自宅までの環境も大切です。
予算と相談しながらなるべくセキュリティの整った物件を選びましょう。
- 駅近
- 2階以上
- オートロック
- 二重カギ
- モニター付きインターホン
- 宅配ボックス
- 防犯カメラ
治安が良く、セキュリティの充実した物件は、どうしても家賃が高くなってしまいます。このような場合は最寄駅からの距離を伸ばしてみるなど条件を絞ると、最適な物件を見つけやすくなるでしょう。
物件の下見について
物件の生活面、設備機能面だけではなくセキュリティ面についてもチェックしておきましょう。
駅から徒歩で下見する
不動産業者によっては車で送迎してくれるところもありますが、駅から徒歩で見学することをおすすめします。車だと街の雰囲気を細かくチェックすることが難しいためです。物件に到着したら外から部屋がどのように見えるのかもチェックしておきましょう。
昼と夜に物件周辺を見てみる
昼間は人通りが多く、問題がなさそうに見えても、夜には雰囲気がガラリと違っていたりします。昼間は気づかなかった街灯は十分についているか、人通りはあるかなどをチェックしましょう。もしもの場合、すぐに助けを求められるコンビニの様な施設が近くにあると安心です。
住民のマナー
ゴミ捨て場にゴミが放置されていたら要注意。苦情の張り紙があれば、問題のある住民が住んでいると思っていいでしょう。可能であれば、その前に住んでいた人の退去理由を聞いてみてください。人の入れ替わりが多い物件は要注意です。
物件のセキュリティについて
カギの種類(ピッキングされにくいディンプルキーがベスト)も重要ですが、屋外からの侵入経路がないかもチェックしておきたいポイントです。1階の柵の高さは十分か、裏口から勝手に入れそうなルートがないかなど、物件のセキュリティもチェックしましょう。
犯罪に巻き込まれないために実践したいこと
女性の一人暮らしだと悟られないこと
自宅にいきなり見知らぬ男性が侵入してくると想像以上に恐怖を感じます。このような危険を避けるために、できる限り女性が一人暮らしをしていることを悟られないように注意しなくてはなりません。
よくある防犯対策に男性ものの下着を干すといった方法がありますが、最近だとこの方法はかえって危険だと指摘されています。その理由として窃盗犯は一度見ただけでその家に侵入するのか決めているわけではないからです。
そのため、男性が住んでいることを装うためには、下着だけではなくジーンズやシャツなど複数の男性ものの服を用意しなければなりません。手間を考えると洗濯物は浴室乾燥機や部屋干しにしたほうが効率的です。
セキュリティ設備を過信しない
一人暮らしではセキュリティを過信しないことも重要です。あらゆる防犯対策を施したとしても絶対安全ということはありません。一人暮らしの女性を狙い正面の出入り口からではなく、非常階段から侵入したという事件も発生しています。オートロックであっても住人に紛れたり、宅配便業者を装ったりと侵入する方法はいくらでもあります。
基本的な防犯対策として絶対にカギをかけましょう。警察庁のデータによると空き巣の50%、居空き・忍び込みに関しては90%の侵入手段がカギのかけ忘れによるものです。
設備を過信せず、在宅時もカギをしっかりかけ、ドアチェーン・ドアガードを忘れずに。
警戒心を常に持つ
ゆっくり歩いて警戒心がなさそうな人は、不審者にとって格好のターゲットです。特徴としてスマホを操作していたり、音楽を聴きながらだったりすると注意散漫となり、不審者も狙いやすくなります。
逆に常に周囲の状況を気に配り、きびきび歩いている人は、不審者のターゲットになりにくいため、意識したいところです。
また、スカートやハイヒールなど、動きにくい服装をしている女性は、逃げようとしても早く逃げられないことを不審者はわかっています。警察庁によると痴漢・強姦・強制わいせつの加害者に動機を聞いたところ、最も多かったのが最初から犯行するつもりだったという回答です。酒に酔った結果、場当たり的に犯行に及んだケースはあるものの、多くの加害者は計画性をもって犯行に及んでいます。
自分自身を守るため、日ごろから警戒心をもつことが必要です。
SNSの取り扱いに注意
撮影した写真をSNSにアップする際、設定によっては写真に埋め込まれた位置情報で住んでいる場所など個人情報が不特定多数の人に知られたりする恐れがあります。
写真の位置情報は後から検索する場合、便利な機能ではありますが、設定や使い方によっては危険な落とし穴となるのです。また、背景から住んでいる場所が特定されることもあるので、写真をネット上にアップするときは慎重に。
また、写真だけではなく投稿の内容も注意しましょう。旅行に行っているとアップすると、家には誰もいませんということを世界中に宣言していることになります。SNSでつながっている人がすべて問題ない人だといえませんよね。
東京で一人暮らしをするうえで気をつけたいことについて紹介しました。防犯面を考えると少し家賃が高くなっても防犯対策がしっかり講じられた物件を選ぶといいでしょう。この記事を参考にして頂ければ幸いです。