フリーターは「負け組」なのか?
フリーターという選択肢を考える
フリーター(フリーアルバイター)という言葉が世間的に広く知られるようになったのは、1980年代頃のバブル期以降のことです。
背景としてはまずバブルの時期には時給の高い仕事が多くあり、正社員として勤務をしなくてもそれなりによい生活をすることができたということがあります。
そして90年代に入ってからはバブル後の就職氷河期が到来し、今度は正社員になりたいけれども仕事がないということが別の意味でフリーターの存在を増やすことになりました。
現在でもそうしたフリーター増加の理由は年配世代の人たちの意識にしみついているようで、アルバイトで生計を立てている人に対して「正社員になれなかった人」「長く一つの仕事を続けることができない人」というネガティブなイメージが先行しています。
時代が変わり2000年代に入ってからは、フリーターといってもその理由はさまざまで従来までのような動機の他にも「やりたい仕事をするため」や「他になりたいものがあるため」といった理由でフリーターとしての生活を選ぶ人も増えています。
世間的なイメージ自体はやはりそう評価の高いものではありませんが、それを選ぶ人の意識は確実に変化してきているということは確実です。
将来のためのキャリアアップの手段として
今も昔も一般的な日本人のライフスタイルは会社員や公務員が前提になっています。
ですが大きな組織に入って長く勤めるということは、その組織内で役立つスキルや人脈は得やすい反面で将来的に自分独自の仕事をしていきたい人にとって幅広い技術やノウハウを得ることはできにくくなるということでもあります。
また管理職としての仕事ではなくもっと現場での仕事をしたいと思う人にとっても、大企業や組織の一般的なキャリア形成はつまらないと感じることでしょう。
フリーターとして働くということは、小売店や飲食店などの接客業の現場を経験したり、人員整理や流通仕分けといった私達の生活の中にある裏方業務の仕組みを知ることができるということでもあります。
多くの業務を担当することで新しいビジネスのアイディアを得ることができたり、業種・業態にこだわらない多くの人と知り合いになることができたりします。
特に飲食業界においては、正社員であったという実績よりもより多く有名店で勤務をしてきたということがのちの評価につながることが多いため下積みとして最初の数年はあえて給料の安い環境で有名店で働くという方法がキャリア形成に有効になってきます。
実務を学んで自分なりの将来形成
しかし実際にフリーターとして勤務をしている人の中には、就職をしたいけれどもできないという状況の中でやむを得ずそうしているということも多いでしょう。
そうした気持ちを引きずりながらフリーターをしていると、どうしても自分のことを負け組と思ってしまうため、働いていてもおもしろくなくそれが仕事そのものへの意欲低下につながっていってしまいます。
自分で選んだ道であっても、本心とは違う道であったとしても、まずは後ろ向きにフリーターであることをとらえるのではなくそこから何を学んでどういったキャリアにしていくことができるかというふうに気持ちを前向きに切替えていくことが大事になります。
自分に自信を持って仕事をすれば自然と多くの仕事が集まってきますし、予想外のところから別の仕事のヒントを見つけることができるはずです。